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状況把握と合理性

自分の置かれている状況がわかっていなければ、適切な課題設定などできないのは当然のことである。状況把握は、合理的に行わなくてはならない。
しかし、実際には、合理性を超えた決定が行われることがある。

若手の頃、ある量販店の売り上げ予測を頼まれたことがある。その新興住宅地で早い時期から出店し成功していたのだが、隣りにこの地域のディベロッパー系の大型店が出店することになった。地域の人たちには迷惑な話だが、この大型店と私が担当していた量販店の人の流れを断ち切るような設計になっていた。その規模からこの店の行き先に対して悲観的な見方がされていたが、ごく少数、長年の勘からこの店は大丈夫と太鼓判を押す人が一人いた。

私たちは、冷静な分析から、悲観的な見方をせざるを得なかった。そして、早期に業態転換をすべきとのレポートを出した。大型店開店日には店は閑散とし、利益も大きく減るだろうと思われたが、実際は違った。この店は大丈夫と太鼓判を押した人の勝ちだった。

この人は何を見たのだろうか。

その後、この人と親しくさせていただきたくさんの事を学ばせていただいたのだが、この人はこう言っていた。
「状況は厳しいのは、あなた方のレポートからよくわかった。私も同意する。けれども、私はあの店はよく知っている。よいスタッフがいて、団結心がある。だから大丈夫だと感じたんだ。」
この人は、大型店開店数ヶ月前から、支援スタッフとして店に入り、さまざまな働きかけをしていた。

私が失敗したのは、形勢を読み切れなかったからだった。

Best and Brightestよろしく、私たちがエリアマーケティングの統計データを分析していた頃、この人は、店のスタッフを盛り上げ、優れた兵隊を作り上げ、種々の戦術を用意していたのだ。

形勢の“計”は、統計数字のことで、“勢”、勢いは、人が発想し、働きかけを行い、自己に有利な状況を作り出す事だ。

“勢”は、“計”を助け、補ってくれる。しかし、“計”の有利さに頼ってばかりいて、“勢”を作り出せないと、“計”のすべてが動き出さず、つまりどこかが動かず、負けてしまうことがある。

合理性というと数字にばかり注目してしまうのだが、熱い“勢い”もクールに見られなくてはいけない。

大型店開店日、小さな規模になってしまった量販店の来店者数がそれまでの最大数を記録し、レジの行列がとんでもない長さになって、その対応に追われる様子は、私の大きな教訓になっている。

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